長文メールのハラスメントに立ち向かう:生成AIが"秒"でメールをアップデート!

長文メールにイライラ

あの人からの、長くて、ダラダラしたメール。
下へ下へと読んでいく。でも、結論はなかなか出てこない。。。

結局、なにが言いたいんだ?
私に、なにをさせたい?

最後まで読んだが、よく解らない。しかたなく、もう一度頭から読み始める・・・

こんな、うんざりする長文メールに悩まされた経験はないだろうか?

要領を得ない長文メールを送る人は、たいてい仕事のできない人である。
厄介なのは、そんな仕事のできない人と組まされたときだ。一緒に仕事をする以上、その人が書いた、クソみたいな長いメールを、毎回読まなくてはならない。これはもうハラスメント。
ストレスは溜まるし、なにより、相手の伝えたいことを、こちらが汲み取らないといけないから、貴重な時間を盗られてしまう。
結果、こちらの生産性はガタ落ちだ。

しかし、本人に注意したところで、長いメールは止まらない。
「過去と他人は変えられない」
これは宇宙の法則である。

では、どうすればよいか?

生成AIにメールを要約させるのだ!

生成AIは要約の達人

生成AIは、文章要約の達人である。

しかし、ビジネスメールは単純にメール文章を短縮しても、不十分である
その理由は、単なる文章の短縮や要約では、ビジネスメールの「目的」を果たせないからだ。

ビジネスメールの基本:相手に依頼するとき絶対書くべきこと

ビジネスメールには、必ず目的がある。
ビジネスメールの目的、すなわち、相手に伝えたい用というのは、概ね次のどれかだ。

  • 報告
  • 連絡
  • 相談
  • 依頼
  • 提案

この中で、相手を動かしたいのは「依頼」である。つまり、相手にアクションさせたい場合だ。
依頼で、伝えなければならないポイントは、次の2つ。

  1. やってほしいアクションの内容
  2. その期限

背景、条件、手段など、細かい点は置いておいて、必ず伝えなければならないのは、この2点だけである。

長文のビジネスメールがなのは、長ければ長いほど、この2点が見え辛くなってしまい、相手に伝わらないからだ。相手に伝わらないから、相手はこちらが期待するアクションを起こしてくれない。

相手にアクションをさせるを「依頼」メールを書きたいなら、上の2点は端的に書くこと。

メールの解読:自分がアクションするために

自分自身はメールの書き方を気をつけていても、相手から来る長文メールは防ぎようがない。受信する以外に選択肢はないのだ。
受信したら、上記の2点「期待されているアクション/期限」を、がんばって解読するしかない。

最悪なのは、メール返信を使い回すような輩だ。メールタイトルと中身が一致していないので、そこに何が書かれているのか、メールの目的が何なのか、中身を読むまで、まったく判断できない。
さらに、メールが長文で、上記のポイントを押さえていなければ、解読するまでに相当な時間を費やすことになる。

こういった解読が難儀なメールには、生成AIが威力を発揮する。
生成AIに長文メールの解読をしてもらい、メールの目的は何かを見分けてもらう。依頼メールであれば、期待されているアクションは何で、その期限は何時か、一目で解るように編集してもらうのだ。

そうすれば、受信者は迅速にアクションを起こせる。

プロンプト:ビジネスメール向けの要約

要領を得ない長文メールを、「人を動かすビジネスメール」に要約する、生成AIのためのプロンプトが次だ。

長くて読み難い長文メールを、トピック別に、解りやすく、読みやすくして、回答として出力してください。
-出力は表形式。表の列は「トピック名」「トピック種類」「トピック要約」「責任者・担当者」「期限」
-「トピック種類」の値は、{#メール目的}の中から選んで出力値としてください。
-「責任者・担当者」が不明のトピックの出力値は「不明」としてください。
-「期限」が不明のトピックの出力値は「不明」としてください。
-回答を作成したら、出力する前に「期限」の古い順に並べ替えてください。「期限」が不明なトピックは、「期限」有りのトピックよりも後ろに並べてください。並べ替えた回答を回答として出力してください。

#メール目的
-報告
-連絡
-相談
-依頼
-提案

プロンプトの記述ルールについては、次の記事を参照してほしい。

生成AIで期待通りの回答を得るためのコツ

アクションを促すメールにアップデート

それでは、上記プロンプトの検証をしていこう。

次のようなメールが送られてきたとする。

何を言いたいのかわからないビジネスメールの例

件名: ITシステム開発プロジェクトに関する確認事項

ABC株式会社 PMO 山田様

お世話になっております。XYZ株式会社のプロジェクトマネージャー、田中です。

現在進行中のITシステム開発プロジェクトについて、いくつか確認事項とご連絡があります。プロジェクトの進捗と遅れている作業についてですが、特にプログラム開発は進捗が1週間遅れているという報告を受けておりますので、その点についてもご確認をお願い致します。エンドユーザから追加の要望が出ており、対応するには仕様変更する必要があるため、追加のコストがかかることも考慮に入れていただければと思います。

また、解決していない課題が数件あるとのことですが、そのうち課題#201は今月末が期限となっておりますので、至急に貴社の鈴木様と対策会議を開催したいと考えております。現行システムの帳票サンプルを送っていただけると助かります。さらに、翌月末期限の課題#301もございますので、これらについての進捗状況も教えていただければと思います。

残課題のうち、責任者が決まっていない課題がいくつかあるということも確認しております。残課題のうち、お客様に対応をお願いしているものがあり、報告を頂けていない件についてもご確認ください。

プロジェクトの進捗と遅れている作業について、全体的な状況を再確認することが重要です。特にプログラム開発は進捗が1週間遅れている点が気になりますので、早急に対応策を講じる必要があるかと思います。また、エンドユーザからの追加の要望についても、仕様変更が必要であり、追加のコストがかかるとのことですので、ご確認をお願いします。

以上、現状のご報告と確認事項についてお知らせしましたが、他に必要な情報があればお知らせください。どうぞよろしくお願い申し上げます。

XYZ株式会社 プロジェクトマネージャー 田中

これはサンプルなので極端な書き方にしているが、こういった「何が言いたいんだ!?」と叫びたくなるようなメールは、読むだけで頭が痛くなる。
でも大丈夫、生成AIが要約してくれる。

生成AIによる単純なメール要約

このグダグダなメールを、ChatGPTに「次のメールを要約して」と依頼する。すると、次のような要約を返してくれる。

ChatGPTによるメールの単純要約

件名: ITシステム開発プロジェクトに関する確認事項

ABC株式会社 PMO 山田様

お世話になっております。XYZ株式会社のプロジェクトマネージャー、田中です。

現在進行中のITシステム開発プロジェクトについて、以下の確認事項があります。

  1. プログラム開発が1週間遅れているため、その確認をお願いします。
  2. エンドユーザからの追加要望に対応するには仕様変更と追加コストが必要です。
  3. 課題#201は今月末が期限なので、貴社の鈴木様との対策会議が必要です。
  4. 現行システムの帳票サンプルの送付をお願いします。
  5. 翌月末期限の課題#301の進捗状況の確認をお願いします。
  6. 残課題の中に責任者が決まっていないものがあります。
  7. お客様に対応をお願いしている課題の報告がまだありません。

他に必要な情報があればお知らせください。どうぞよろしくお願い申し上げます。

XYZ株式会社 プロジェクトマネージャー 田中

ゴチャゴチャと書かれていた複数のトピックが、整理されて箇条書きになっている。内容の重複や冗長さも排除されたので、かなり読みやすくなった。
理解しやすくなったが、ビジネスメールの目的を果たしているかといえば、もう一歩である。

ビジネスメールの目的とは、上に書いた「報告/連絡/相談/依頼/提案」を伝えることだ。これらをすぐに判別し、「依頼」については迅速にアクションを起こさなければならない。

しかし、上の要約は、それぞれのトピックの目的がはっきりせず、「依頼」が含まれているかどうかは、箇条書きをよく読まないとわからない

書かれている目的を素早く理解できないという点で、単純な要約は不十分なのである。

生成AI+プロンプトによる、アクションを促すメール要約

次は、本記事のプロンプトを使った要約だ。

プロンプトを使った ChatGPTによるメール要約

トピック名トピック種類トピック要約責任者・担当者期限
課題#201の対策会議依頼課題#201の対策会議を鈴木様と今月末までに開催する。鈴木様今月末
課題#301の進捗確認連絡課題#301の翌月末期限についての進捗状況を確認する。不明翌月末
プログラム開発の進捗遅延報告プログラム開発が1週間遅れている。不明不明
エンドユーザからの追加要望依頼エンドユーザの追加要望に対応するため、仕様変更が必要であり、追加のコストが発生する。不明不明
現行システムの帳票サンプル送付依頼現行システムの帳票サンプルを送付する。不明不明
残課題の責任者未決定相談残課題のうち、責任者が決まっていないものがある。不明不明
お客様に対応をお願いしている残課題の報告未確認相談お客様に対応をお願いしている残課題について、報告が頂けていない件を確認する。不明不明
プロジェクトの全体状況再確認依頼プロジェクトの進捗と遅れている作業の全体的な状況を再確認する。不明不明
※着色は後から追加

各トピックには「報告/連絡/依頼/相談」が表示されているので、トピック毎の目的が、一目で判断できるようになっているのがわかるだろう。
「依頼」の場合は、依頼の内容と、「期限」も表示されているので、どんなアクションを何時までに完了すればよいか、見間違えることはないはずだ。
さらに、期限の近いものから順に並べ替えてあるので、表の上のトピックから順にアクションを起こせばよい。

最初のグダグダメールと比べれば、読みやすさ・理解しやすさの差は歴然だ。
これぞ、人を動かすビジネスメールの要約である。

まとめ

  • ビジネスメールは「報告・連絡・相談・依頼・提案」を伝えるという目的がある。相手にメールを送る時は、左記の目的が端的に伝わるように書くことが重要。
  • 人を動かす「依頼」メールを送るときは、期待する アクション/期限を、一目で解るように書くこと。
  • 相手からの受信メールは、生成AI + 本記事のプロンプトを使うことで、相手が伝えようとしていることを、一目で判断できる形に要約できる。

この記事で紹介したプロンプトを使えば、不快な長文メールを読むことなく、相手からの用件を汲み取ってアクションに繋げることができる。長文メールのハラスメントに負けることなく、ビジネスを行うことができるはずだ。

このプロンプトが、多くのビジネスパーソンの役に立てば幸いである。

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