リモート会議のイヤホンは着け心地で選ぶ!【空気伝導イヤホン BH-450】

Rocbo 空気伝導イヤホンBH-450

イヤホンは耳に着けるもの。だけど、着けていても耳を塞がないイヤホンがある。

それが、オープンイヤー型イヤホンだ。

イヤホンで音を聞きながら、家の中の音も、近所の喧騒も、すべて同時に聞きとることができる。まるで、耳が4個に増えたような、不思議な感覚。そんなちょっと得した気分になれるイヤホン。

オープンイヤー型イヤホンといえば「骨伝導イヤホン」が主流だが、今回は筆者が購入した「Rocbo 空気伝導イヤホンBH-450」が快適過ぎて外せない!という話をしたいと思う。

イヤホンは不便?

インナーイヤー型、カナル型のイヤホンは、音が出るスピーカー部分を耳の穴に差し込む。

インナーイヤー型イヤホン
カナル型イヤホン

特に、インナーイヤー型は、スピーカ部分を耳の穴に差し込むので、それが耳栓のような役割となり、外部の音を遮断してくれる。

つまり、音楽や会議に集中できる環境を、インナーイヤー、カナル型イヤホンは提供してくれるのだ。

しかし、リモートワーカーにとって、会議だけに集中したい場面なんて、どのくらいあるだろう?

リモートワーカーの本音は、以下ではないだろうか?

  • 小さい子供がいるので、リモート会議に参加しながら、子供の相手をしなければならない。
  • リモート会議に参加中だが、大事な荷物が届く日なので、呼び鈴を聞き逃さないようにしたい。
  • 退屈なリモート会議なので、BGMを聞きながら参加したい。
  • ぶっちゃけ、会議に出てる場合じゃない。だけど、会議に出ながら他の作業もこなしたい。

とにかく、イヤホンを装着すれば耳は塞がり、周りの音は聞こえなくなってしまう。耳を塞ぐイヤホンとは、不便なものかもしれない。

だが、耳を塞がずに音を聞くことのできるイヤホンは存在する

リモートワーク向きのイヤホン

上述の「ながら聞き」を可能にするイヤホンが、オープンイヤー型イヤホンだ。

オープンイヤー型イヤホンとは、文字通り、耳の穴を塞がずに、音を聞くことができるイヤホンのことである。

イヤホンを着けていても耳の穴は空いているから、リモート会議で相手の声を聞いている時でも、耳には自然と周囲の音(環境音)が入ってくる。

つまり、会議の音声と、身の周りの音を、同時に聞くことができるイヤホンなのだ。

「会議」と「周囲」の二つの音を、同時に聞きとることができれば、仕事と、仕事の以外のことが同時にできる機会が増える。つまり、マルチタスクが可能になる。

リモートワーカーにとって、オープンイヤー型イヤホンはマルチタスクを可能にする、とても都合の良いデバイスと言えるだろう。

オープンイヤーの主流は骨伝導

オープンイヤー型イヤホンの主流といえば、「骨伝導イヤホン」だろう。

最近、街中でも装着している人をよく見かけるようになった。筆者も ShokzOpenRun Pro を愛用中である。

OpenRun Proは 耳を塞がず「ながら聞き」ができるし、ノイズキャンセリング機能付きのマイクも搭載されているしで、リモート会議では重宝している。
装着感はとても安定しており、ズレ落ちる心配もない。ランニング時にも愛用しているので、骨伝導イヤホンは筆者にとって、欠かせないアイテムとなっている。

一方、音質は、カナル型やインナー型のような従来型イヤホンには負ける。これは、どのレビュー記事にも書かれていることだが、骨伝導イヤホンの構造上の宿命なので、どうしようもない。

しかし、耳を塞がずに音が聞こえるというメリットは、音質の欠点を補って余りあると言い切れる。

快適なリモートワーク

オープンイヤーは生産性を上げる

骨伝導イヤホンで最も気に入っている点。それは、「イヤホンを付けたまま」リモートワークができる という点である。

耳を塞ぐ従来型イヤホンの場合、リモート会議中に周りの音を聞きたければ、イヤホンを外すか、音量を下げるしかない。そして会議に戻る時は、イヤホンを着け直すか、音量を上げる、という、付けたり外したりをしなければならない。

だけど、イヤホンの着けたり外したりはけっこう面倒くさい

その点、骨伝導イヤホンなら、イヤホンをしていても耳の穴は開放されているので、イヤホンを付けたままでも、周りの音はしっかりと聞こえる。だから、イヤホンをいちいち着けたり外したりする手間がない。

着けたり外したりの時間が無いから、生産性が上がるのだ。

OpenRun Pro は1回のフル充電で最大10時間は駆動する。1日の在宅勤務なら、無充電で利用することが可能だ。充電する手間が省ける点も、生産性向上につながる。

付け外しの必要がなく、途中の充電も不要なので、「イヤホン付けっ放し」で在宅勤務ができるようになった。

骨伝導イヤホンの不満

くすぐったい

骨伝導イヤホンとは、名前が示す通り、音が骨を伝わって聞こえるイヤホンである。音を聞くというより、「振動」を感じ取っていると言った方が適切かもしれない。骨に振動を伝えるため、骨伝導イヤホンの「音が出る部分」には、スピーカーは存在しない。

代わりに、「振動子(振動板)」が、スピーカーに相当する部分に内蔵されている。この振動子がブルブル震えることで、骨に振動=音を伝えるという仕組みである。

骨伝導の振動子
「振動子」が震えて骨に音を伝える
補聴器専門店プロショップ大塚「骨伝導とは?その仕組みと音質、安全性について」より)

ブルブルと振動するデバイスなので、骨伝導イヤホンを使っていると「くすぐったい」と感じることがある。ロックのような激しい音楽ほど、振動子は激しく振動するので「くすぐったい」は増す。

この「くすぐったい」は、骨伝導アルアルなのだが、痒い、鬱陶しい、集中できない、という人も少なくないようだ。

「くすぐったい」が気になる人の場合、骨伝導イヤホンは向いていないかもしれない

しめつけ感

筆者にとって、くすぐったいよりも不満なのが、

絞めつけ感

絞めつけ感(キツっ)である。

耐えられないほどではないが、体調の優れないときなど、気になるときは気になってしまう。

振動子は顔(耳の近くの皮膚)に密着するようになっている。振動子が顔から離れていると、振動が伝わらず、音が聞こえないからだ。

左右の骨伝導イヤホンは、1本のネックバンドで繋がっている。このネックバンドは下のイラストのように半円形になっており、円の中心へ向かって丸まろうとする。この丸まろうとする力によって、イヤホン、つまり振動子を顔に密着させるのである。

ネックバンドの絞めつけ

しかし、このネックバンドの挟み込む力が、時々

「きつい」

と感じることがある。

大袈裟に言えば、大きな洗濯バサミで頭を挟まれるような感覚。

挟まれる感覚

普段はあまり気にならないが、振動子はこめかみの近くを絞めつけるので、頭痛の時など、体調が優れない時は気になってしまう(そういう時は仕事休めって)。

「きつい」の感じ方には個人差があるが、頭痛持ちの人にとっては、骨伝導イヤホンは超不快なデバイスになってしまうかもしれない。

骨伝導以外の選択肢

もうちょっと絞めつけの緩い骨伝導イヤホンが欲しいな...

と思っていた時、スタートアップを応援する Maluake で偶然見つけたイヤホンが

Rocbo空気伝導イヤホン BH450

だった。

見た目は骨伝導イヤホンそっくりである。しかし、名前は「骨伝導ではない」イヤホンなのだ。つまり、骨に振動を伝える振動子を持たない。

見つけた時に思ったのは、

「振動子がない分、もしかして絞めつけ感が弱いのでは?」

だった。

空気伝導? なんじゃそら?

Makuake に出品されているということは、スタートアップの発展途上の商品ということである。

果たして、信用できる製品なのだろうか?

空気伝導イヤホンの第一印象は「胡散臭い」だった。

そもそも音というものは、空気を伝わって聞こえる。なのに、いちいち「空気伝導」と銘打つ必要があるだろうか?

それにしても「空気伝導」とは気になる。「どうやって音を空気に伝えるんだ!?」(日本語がおかしい)

製品紹介ページに書かれている説明を読んでみると、骨伝導イヤホンのような振動子はなく、小型のスピーカーから音が出るようだ。

どうやら、音が出る仕組みは、カナル型のような「普通のイヤホン」と同じようである。

普通のイヤホンと違うのは、

小型スピーカーを耳の穴に入れるのではなく、耳の近くに置く

という点だ。小型スピーカーを耳の近くに配置するので、骨伝導イヤホンと同様に「耳を塞がない」というのがウリのようだ。

仕組みは理解したが、

「どんなふうに聞こえるんだ!?」

と気になって仕方がない。

しかも、BH450は4基スピーカーを備え、高音質をもウリにしているではないか!

こうなったら、もう買うしかない。

少々の不安には目を瞑り、Makuake のプロジェクトに参加することにした。

Mekuakeをポチって「Rocbo空気伝導イヤホン BH450」を購入したのだった・・・

Rocbo空気伝導イヤホン BH450 のレビュー

装着方法と見た目

装着方法は骨伝導イヤホンと同じ。

ネックバンドを持って、耳の上からストンと引っ掛けるだけ。とても簡単。

空気伝導イヤホンの装着

装着時の見た目は、骨伝導イヤホンとほぼ同じ

空気伝導イヤホンBH-450
空気伝導イヤホン BH-450
骨伝導イヤホン OpenRun Pro
骨伝導イヤホン OpenRun Pro

空気伝導イヤホンを知らない人が見れば、骨伝導イヤホンを着けているようにしか見えないだろう。

電源と充電

耳に引っ掛けたら、本体右下の前方にある電源ボタンを長押し、電源ON。

充電コネクタは本体右下にある、カバー付きのUSB Type-C

充電コネクタのカバーと操作ボタンはオレンジ色である。ちょっと目立つ配色だが、本体とコネクタの境い目がくっきり見えるので、老眼が始まった筆者には、有難い配色といえる。

充電中は本体横にあるLEDが赤く点燈し、充電が完了すると青に変わる。

BH450充電中
充電中(LED赤)
BH450充電完了
充電完了(LED青)

難点は、本体横の薄いカバー板がLEDを覆っているので、LEDを真横から直接見ることができない点だ。隙間から覗かないとLEDが見えないので、充電されているのか、充電完了しているのか、ちょっと分かり辛い。

まぁLEDの点燈は、上の写真のようにカバーの隙間から覗けばいいし、充電中のLEDなんて四六時中見るもんではないので、大した問題ではない。

音質

空気伝導イヤホンの音質は、及第点といったところか。

「高音質」と謳われていたので、期待値が大きかったせいもあるが、目の覚めるような高音質かといえば、そうでもない。高音はクリアとはいえず、低音も物足りない。

インナーイヤー型やカナル型に比べれば、音ははっきり言ってイマイチだ。これは、空気伝導イヤホンの構造的な宿命である。

音は波のように空気中を進んで行く。スピーカーと鼓膜の距離が離れるほど、音の波は拡散し減衰する。スピーカーと鼓膜との距離が空いている空気伝導イヤホンは、音の減衰を免れない。

空気伝導イヤホンの音質が、従来型のイヤホンよりも劣るのは、これはもう仕方のないことである。

むしろ、スピーカーと鼓膜との距離は離れているのに、音がちゃんと聞こえるように作られているところを評価すべきだろう。

購入するまで「空気伝導」なんて胡散臭いなぁ、と思っていたが、実際に音を聞いてみたら「空気伝導」という言葉は納得だ。

付け加えておくと、音楽を聞く時の音質は普通のイヤホンよりも劣るが、人の声であれば、まったく遜色なく聞こえる。つまり、リモート会議で使うイヤホンの音質としては、まったく問題ないレベルである。

なお、スピーカー部分が露出している構造なので、当然のように音漏れする。電車やバスの中など、公共の場で使うのは、控えた方がよさそうだ。

着け心地

着け心地は、骨伝導イヤホンと違う。

着けた瞬間にわかるが、絞めつけ感が骨伝導イヤホンに比べて弱い

この「絞めつけ緩い」感じが、最も気に入っている

空気伝導イヤホンは、音を骨に伝えるための振動子を顔に密着させる必要がないため、ネックバンドの絞めつけ力を強くする必要がない。

骨伝導イヤホンは装着時、耳の横に「ピタッ」とくっつく感じだが、空気伝導イヤホンは耳の上に「ふわっ」と乗っかる感じである。ネックバンドの挟み込む力が弱いので、「きつい」感じがしないのだ。

下の写真の、ネックバンドのたわみ具合を見てもらえば、空気伝導イヤホンのネックバンドの柔らかさがよく解ると思う。

絞めつける力が弱いからズレ落ちやすいかといえば、そんなことはぜんぜんない。

骨伝導イヤホンもそうなのだが、ネックバンドで絞めつけて固定するのではなく、耳の上に乗せて支えるので、逆立ちでもしない限り、落ちることはない。

この理屈は眼鏡を想像してもらえば解り易いと思う。眼鏡はフレームの絞めつけによって落ちないのではなく、フレームを耳の上に乗せて支えるから、落ちないのと同じ理屈である。

絞めつけ感が弱く、振動子が「くすぐったい」と感じることがない空気伝導イヤホンは、「絞めつけ感」に敏感な人にとって、オープンイヤー型イヤホンの選択肢を増やすソリューションとなるだろう。

マイク性能:相手はどう聞こえるのか?

BH450のマイクは、DNCノイズキャンセリング付き。

イヤホンとしての音質はともかく、こちらが話す声は相手によく聞こえるらしい。

リモート会議中、空気伝導イヤホンを使っているとは言わず、

「マイクで話しているけど、聞こえてる?」

とたずねたら、

「いつもと変わらず聞こえてますけど・・・」

という回答だった。「いつもと変わらず、よく聞こえる」という感想は一人や二人ではなかったので、BH450のノイキャン付きマイクは高性能と判断して間違いなさそうである。

リモートワーク用イヤホンに求めるもの

筆者がリモートワーク用のイヤホンに求めるもの。
それは、長時間ストレスなく着けっぱなしにできるかどうか、である。

そもそも、リモート会議のTeamsやZoomの音は悪いのだから、イヤホンに高音質を求めても、あまり意味はない。

バッテリーが長持ちし、マイクで話した自分の声が相手によく届くか。なにより、絞めつけ感が少なく、長時間着けていても苦にならないかどうかを重視する。

その点、BH450のネックバンドは、絞めつけ感がほとんどない。着けていることを忘れてしまうくらい、ストレスフリーな着け心地なのだ。

「リモートワーク専用」と割り切れば、空気伝導イヤホンは最適、最高のデバイスになりえると思う。

リモートワークなら、絞めつけ感の少ない「空気伝導イヤホン」
間違いない選択である。

空気伝導イヤホンは着け心地抜群

まとめ:リモートワーク向けイヤホンの比較表

最後に、「リモートワークでの使用」を前提とした、各種イヤホンの比較表を載せておく。

比較のために、一般的なインナーイヤー型イヤホン(iPhone付属)も並べている。「音質」の良し悪しは、インナーイヤー型イヤホン(iPhone付属)を最大値として、筆者の感覚による比較である。

インナーイヤー
(iPhone付属)
骨伝導
(Shokz OpenRun Pro)
空気伝導
(Rocbo BH450)
音質高音★★★★★★★★★☆★★★☆☆
音質低音★★★★★★★★★★☆☆☆
環境音の聞こえやすさ★☆☆☆☆★★★★★★★★★★
音漏れのし難さ★★★★☆★★☆☆☆★☆☆☆☆
重量57g29g26g
連続使用時間10時間10時間
防水IP55IPX6
ノイズキャンセリングマイク★★★★☆★★★★☆
Bluetooth5.15.3
充電ケーブル専用ケーブルUSB Type-C
快適さ(絞めつけ感)★★★☆☆★★★★★
リモートワーク向けイヤホンの比較表

「Rocbo空気伝導イヤホン BH450」 は、2023年6月現在、Amazonや楽天では販売されていない。スタートアップを応援するMakuakeからのみ、購入可能のようである。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です