【劇的生産性】パワーポイントの生産性を最大化する色の数とは?

パワーポイントの生産性を最大化する色の数とは

皆さんはパワーポイントのスライドを作る時、色の数はどのくらい使っているだろうか?
5色? 12色? 24色?

パワーポイントで使う色の数は〇〇色!と決めた日から、筆者のパワーポイント生産性は爆上がりした。
この記事では、パワーポイントの生産性を最大化する色の数について解説していく。スライドのクオリティを高めつつ、スライド製作の時間を短縮する色の数とは?
この記事を最後まで読んで実践してもらえれば、皆さんのパワーポイントの生産性は、きっと飛躍的に向上するはずだ。

色の使い過ぎは逆効果

カラフル=見映えが良いという勘違い

カラフルにすれば、綺麗だし、お洒落で素敵に見えるだろう

と考えるのは大間違いである。下の写真を見て欲しい。

カラフルはエレガントではない
画像は Microsoft Image Creator によって生成

文字通り、色々な色を使って飾っているが、お洒落に見えるだろうか?

色の数を増やしても、エレガントに見えるとは限らない。むしろ逆だ。

多色のデメリット

パワーポイントも同じである。色を多用したスライドは、エレガントに見えない

色の多いパワーポイントのスライド
多くの色を使ったスライドの例

それだけではない。次のような多くのデメリットを抱えることになる。

  • 視線が定まらない。落ち着かない。
  • 強調したい箇所が目立たない。
  • 「どの色を使おうかな?」と迷う無駄な時間が増える。
  • 色を変える操作が増える。スライド製作に時間がかかる。
  • 何色で塗るかに意識をとられてしまい、メッセージやストーリーなど、肝心の中身に意識が向かない。

貴方のパワポは、たくさんの色で飾られていないだろうか?
もしもカラフルなら、生産性を下げているだけでなく、伝えたいことが伝わっていない可能性が高い。

なぜ多くの色を使ってしまうのか?

子供の頃のお絵描き

パワーポイントは、文字を書くだけでなく、図形を描くことができるツールだ。
パワーポイントの作業の多くは、所謂「お絵描き」だから、パワーポイントはお絵描きツールとも言える。

子供の頃のお絵描きで使っていた道具は、なんだっただろう?

クレヨン

絵を描く道具といえば、クレヨン、絵の具など。クーピーペンシルというのもあった(懐かしい!)。
色とりどりの12色や24色のセットは、幼少期の頃に使い倒した、馴染み深いものだったろう。

そして、沢山の色を使ってお絵描きすれば、「綺麗だね~」と親や先生から褒められなかったか?
そんな大人の指導の甲斐もあり、モノトーンの渋い絵を描いている子供というのは記憶にない。

つまり、我々は幼少期から「絵はたくさんの色を使って描くもの」というのを刷り込まれているのである。

やがて、子供は大人になり、パワーポイントという新たなお絵描きの道具を手に入れることになる。
かつて子供だった大人は、幼少期に刷り込まれた「たくさんの色を使うのが正義」を思い出し、カラフルなパワーポイントをせっせと作ることになるのである。

パワーポイントにも罪がある

たくさんの色を使ってしまうのは、ユーザーのせいだけではない。パワーポイントにも問題があるのだ。
たくさんの色を使わせようと、パワーポイントが煽るのである。

図形を選択し、パワーポイントのメニュー「図形の書式」を呼び出すと「テーマの色」が現れる。「テーマの色」には、いきなり60色もの色が提示されるのだ。

パワーポイントの色の設定


この60色が気に入らなければ、メニューから「塗りつぶしの色」を呼び出し、「ユーザー設定」タブにある「赤」「緑」「青」の組み合わせを指定することで、好みの色を作り出すこともできる。

パワーポイントの色の設定

「ユーザー設定」による色の組み合わせは膨大なので、どういう色にしたものか、さらに悩むことになる。
「標準的な色の中から選ばせてよ」という人は、「標準」タブに切り替えればよい。

パワーポイントの色の設定

しかし、「標準」に切り替えても、色の候補は何十色と表示される。Microsoft Officeの「標準色」は、24色絵の具セットを軽く凌駕しているのだ。

24色の絵の具セットでさえ、全ての色を使いこなすのは難しかったのに、パワーポイントの何万色の色を使いこなすなんて土台無理なのだ。

結局、毎回毎回どの色にするのか迷い、試行錯誤を繰り返した末に、奇抜な色を選択することになるのである。

こんな感じで、多くの色を使わせようとパワーポイントから誘ってくるので、エンドユーザーも「多くの色を使うべきだ」と思ってしまうのだ。

スライドを作る度に、「どの色で塗るのか迷う」「色を塗って試行錯誤する」を繰り返しているとすれば、これほど無駄な時間の使い道はない。そんな時間の無駄使いを強いるパワーポイントとは、なんと罪深いツールだろうか!

パワーポイントの誘いに乗ってはいけない!!

必要なのは何色か?

〇〇色あれば十分


では、パワーポイントでは使う色の数は、幾つあれば十分なのだろうか?

答えは、

パワポの生産性を最大化する色の数
画像は Microsoft Image Creator によって生成

2色である(黒を入れれば3色)。

シンプルこそが最強。2色あれば十分なのだ。

色を減らすメリット

上述の多色使いのスライドを2色だけで作成し直すと、次のようになる。

2色のみのパワーポイントのスライド
2色のみで作成したスライドの例

使う色は「2色だけ」と決めておけば、次ようなメリットを得られる。

  • エレガントな印象を与えやすい。
  • 強調したい箇所が一目でわかる。
  • 「この色の時は大事」というのがすぐに伝わる。
  • 色選びに迷わない。「どの色にしようかな?」という時間が無くなれば、スライド製作の時短になる。
  • 色を変える操作が減る。結果、スライド製作の時短になる。

2色にすれば、スライド製作時間は短縮、生産性はMAX、良いことしかないのだ。

今日からは、2色のみを使って、パワーポイントのスライドを作ってください (o^―^o)

色を選ぼう

メインカラーとアクセントカラー

プレゼンテーション全体を通して2色に統一する。2色はそれぞれ「メインカラー(テーマカラー)」と「アクセントカラー」だ。

メインカラー

プレゼンテーション全体をイメージ付ける色。

アクセントカラー

プレゼンテーションの中で、強調したい時に使う色。

基本はコーポレートカラー

メインカラー/アクセントカラーを選ぶのに迷った場合、企業に勤めているのなら、自社の「コーポレートカラー」または「ブランドカラー」があるはずなので、左記の色をメインカラーにするのが近道であり王道である。

たとえば、楽天なら赤色、amazonなら黒+オレンジ色と、コーポレートカラーは決まっている。「この色といえば、あのプランド」といった具合に、色とブランドを結び付けておけば、人々の記憶に残りやすいからである。

コーポレートカラーを使うのは、あくまで色選びの手段の一つである。コーポレートカラーを使わなくてはならないというルールはないので、プレゼンテーションの内容に相応しい色を選べばよい。

ただし、コーポレートカラーの使用を義務付けている会社の場合は、コーポレートカラーをメインカラーとして使用する。

補色を使う

メインカラーを決めたら、次は「アクセントカラー」だ。

アクセントカラーは「強調したい箇所」に使用する色なので、「目立つ色」を選ぶことになる。

「目立たせるなら、派手な色でしょ」と思うのは、これまた勘違いである。

メインカラーは名前の通り、スライドの多くの部分を占める色である。アクセントカラーはスライドの要所要所に登場するので、メインカラーよりも出番は少ない。少ない箇所を目立たせるには、メインカラーと対照(コントラスト)をなす色を選ぶようにする。つまり、メインカラーと反対の色を選ぶのがポイントである(反対の色を選んだ結果、派手な色になることはある)。

この時に役立つ考え方が「補色」だ。

補色

補色とは、色相環(上の図)で反対に位置する色のことである。

上の例では、「緑色」の補色は「赤色」であることが解かる。つまり、メインカラーに緑色を選んだのであれば、アクセントカラーは赤色にすればよい、ということである。

テーマカラーとアクセントカラー
メインカラーとアクセントカラーによるスライドの例

迷ったらこの色

メインカラーをどうしても決められないという場合、とりあえず使っておけば無難な色がある。

それは、

グレー
画像は Microsoft Image Creator によって生成

グレーである。

グレーは、黒と白の間に位置する無彩色である。「色のない色」なので、クセがなく無難な色なのだ。メインカラーを決められない場合、とりあえずグレーを選んでおく、という手がある。

また、メインカラーとアクセントカラーだけでは、どうしても色が足りない、といった場面でもグレーは使ってよい色である。

グレーは「どちらでもない」「中立」を表す色なので、使って問題になることはない。一方、「グレーゾーン」「灰色決着」という言葉があるように、あまり良いイメージを抱かせない色でもある。

原色は使わない

原色は使わない方がよい

原色のままの色は、鮮やか過ぎて目が痛くなるからである。

プレゼンにおいては、聞き手にとっての見易さを第一に考えるべきだ。

その点、「目に優しい色」は、聞き手にとって見易い色である。

見易ければ、よく見てくれるので、伝えたいことが伝わりやすいはずである。

色が持つ意味を覚えておく

色の意味
色は意味を持っている。意味と異なる色を使うと・・・

色にはそれぞれ「意味」があることをご存知だろうか?

色が持つ意味を覚えておき、上手く利用すれば、プレゼンテーションの印象を操作する手助けになるだろう。
逆に、色が持つ意味とは異なった意味でその色を使えば、意図しないメッセージを相手に与えることになってしまう。

たとえば、「危険」を象徴する赤色で「安心してください。履いてますよ」と書かれても、安心した気分にはならないだろう。
また、「安定」を表す緑色で「危険!」と書かれても、「え?危険なの?」となって、危険を伝えるという目的を果たせない可能性大だ。

そうならないよう、各色が持つ意味を以下に記載しておく。色を決める際の参考にしてほしい。

: 危険、情熱、興奮、活力

血の色、火の色であることから、危険を象徴する色。情熱や愛情、エネルギッシュさを表す色でもあるので、強さ、自信、権力を表す色でもある。赤は非常にパワフルで目立つ色なので、アクセントカラーには持ってこいの色。一方、良い意味と危険な意味の両方を併せ持つ色なので、注意して使いたい。

黄色: 元気、楽しい、幸せ、楽観的

太陽の光の色を表す黄色は、元気、楽しい、笑顔を思い起こさせる。たとえば、ニコちゃんマークの色は黄色だ。「幸せの黄色いハンカチ」という映画もあるように、黄色は幸せを象徴する色として定着している。一方、東西を問わず「立ち入り禁止線」で使われる色なので、「危険・注意」を示す色でもある。

オレンジ: 活発、健康、陽気、創造的、親切

赤の暖かさと、黄色の幸福感を合わせ持つオレンジは、活発で陽気なイメージを与える。オレンジ色は文字通り、果実のオレンジの色なので、フレッシュで健康的という印象を与えることもできる。暖かな色であることから、親切という印象も与える。赤や黄は使うのに注意を要する場面があり、嫌う人がいるが、オレンジ色にネガティブな意味はなく、万人受けする暖色である。

:自然、裕福、バイタリティ、安定

植物を連想させる色なので、自然、環境、豊かさ、安定を表す色。明るい緑は、成長やバイタリティといった活動的な印象を与え、深い緑は、裕福さや安定といった、落ち着いた印象を与える。

: 信頼、信用、正義、交流、落ち着いている、落ち込んでいる

一般的に最も好まれる色。信頼や信用を表す色であることから、企業では特によく使われる。交流という意味から、FacebookやTwitterのロゴも青色である。海や空の色でもあるので、落ち着いている、調和的という印象も与える。一方、「マンデーブルー」という言葉があるように、憂鬱、悲しい、という意味と結び付けられることも。青は誰もが使う色なので、インパクトを出したければ敢えて使わないという手もある。

: 高貴、神秘的、精神的

古来より、高貴であることや高い地位であることを表す色。精神的・神秘的といった意味合いも持つ。偉いお坊さんの袈裟の色も紫である。淡い紫はフェミニン(女性的)で優しそうな印象を与え、深い紫はラグジュアリー感を増す。

茶色: 健康、健全、秩序、シンプル、誠実

自然を表す色なので、健康、健全、秩序といったイメージを伝える。また、シンプル、力強い、耐久力、誠実を表す色でもである。一方、土の色でもあるので、使い方を間違えると、汚いというイメージを与えかねない。

ピンク: 女性的、感傷的、ロマンチック、ワクワク

ピンクは女性的・少女的という印象が強い。女の子に人気のプリキュアシリーズのセンター戦士は、たいていピンク色だ。ピンクにも色々な色調や濃淡があり、それぞれに意味がある。淡いピンクは少女のイメージが強い。くすんだピンクは感傷的。明るいピンクはロマンチックな印象を与える。赤に近いピンクは若々しさやエネルギッシュさを感じさせる。

まとめ

「パワーポイントの生産性を最大化する色の数」について、最後にまとめておこう。

  • パワーポイントで使う色は2色(黒を入れれば3色)で十分。
  • 2色とは、「メインカラー」と「アクセントカラー」。
  • メインカラーは、コーポレートカラー(ブランドカラー)を基準にする。
  • アクセントカラーはメインカラーの「補色」から選ぶとよい。
  • 色選びに迷ったらグレーはあり。
  • 色にはそれぞれ意味があるので、色の持つ意味を理解し、使い分ける。

パワーポイントで使う色は2色で十分

2色だけでスライドを作ると決めておけば、あなたのパワーポイント製作スピードは、必ずアップするだろう。

もちろん、パワーポイントのスライド作りは「色を選ぶ」だけではない。使う色を2色に絞ったからといって、生産性が2倍、3倍になることはない。また、最初から「黒一択」の強者には、この2色という提案は響かないだろう。

しかし、「色を選ぶのに迷う」時間から解放されれば、その時間はスライドの他の部分の改良に使えるので、プレゼンテーション全体のクオリティは上がるはずだ。

「センス」という抽象的な言葉で語られやすい「デザインのコツ」を、「言語化」した良書、が「ノンデザイナーズ・デザインブック」だ。タイトルの通り、筆者のような「デザイナーではない」人向けに書かれている。デザインの4原則「近接」「整列」「反復」「対比」に従うと、プロのデザイナーでなくても、それなりに見映えのする資料を作ることができる。本記事のアクセントカラーで触れた「対比(コントラスト)」についても、おさえるべきポイントが書かれている。デザイナーではない人にとって必読の書と言えるだろう。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

次回のパワーポイント生産性アップの記事は、「色」の続きで、図形やフォントの色を素早く塗る方法について。

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